今まで弊社にお問い合わせ頂いた残留農薬検査に関するご質問をご紹介致しております。


農薬とは何ですか?
「農薬」とは、農作物を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみ、その他の動物又はウイルスの防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤、その他の薬剤及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいいます。用途別には、害虫を防除する殺虫剤、農作物にとって有害な菌(細菌や糸状菌)を防除する殺菌剤、雑草を防除する除草剤、種なしぶどう等を作る植物ホルモン等の植物成長調整剤があります。

農薬の安全性はどのようにして調べられているのですか?

通常、マウス等の実験動物を用いた急性毒性試験、慢性毒性試験、発がん性試験、繁殖試験(農薬を2世代にわたって投与し、生殖機能、新生児の発育に及ぼす影響を調べる試験)、催奇形性試験(農薬を妊娠動物に投与した場合の胎児への影響を調べる試験)、変異原生試験(遺伝子への影響を調べる試験)等の色々な毒性試験等が行われており、これらの試験成績を評価して、安全性が調べられています。
  こういった試験成績は、農薬に限らず、食品添加物等の化学物質の安全性評価を行う際に必要とされる試験成績とほぼ同様です。また、わが国だけでなく、国際的な機関の評価でもほぼ同様の試験成績が求められています。


農薬の食品への残留はどのように規制されていますか?
残留農薬基準として規制されております。

残留農薬基準とは何ですか?

食品衛生法において定められている食品の規格の中で、食品に残留する農薬の基準が「残留農薬基準」と呼ばれています。残留農薬基準は、農産物に残留する農薬量の限度として厚生労働大臣が定めています。残留農薬基準が設定された場合、これを超えるような農薬が残留している農産物は販売禁止等の措置が取られることになります。
  食品衛生法は、「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与する」ことを目的とした法律で、残留農薬基準は国民が口にする食品の全てを対象としており、国産農産物、輸入農産物のいずれもが食品衛生法に基づく規制を受けることとなります。

(解説)
  残留農薬基準は、農薬ごとに約130種類に分類された農産物のうち必要な農産物について基準値が設定されます。
通常は、1kgの農産物あたりに残留する農薬の量の限度(mg)として「ppm」という単位で表されます。例えば、ある農薬の米についての基準値が5ppmと定められている場合、この農薬は米1kgあたりに5mgを超えて残留してはならないことを意味します。


農薬の残留実態を把握するために、どのような調査が行われているのですか?

厚生労働省では、国立医薬品食品衛生研究所や地方衛生研究所等の協力を得て、以下の3種類の調査を行っています。

(1)食品中の残留農薬調査
これは、現に流通している農産物中の残量農薬の実態を把握するために、@各地方自治体の食品衛生監視員による市場等からの農産物の抜き取りによるモニタリング検査、A検疫所による港や空港に入ってきた段階での輸入品のモニタリング検査、B厚生労働省による残留農薬基準値が設定されていない農薬についての実態調査の結果を集計しています。
(2)マーケットバスケット調査
国民が日常の食事を介して食品に残留する農薬をどの程度摂取しているかを把握するために、平成3年度から、国民栄養調査での食品の摂取量に基づいたマーケットバスケット方式による農薬の一日摂取量調査を行っています。
(3)輸入加工食品中の残留農薬検査
近年の加工食品の輸入急増を踏まえ、輸入加工食品を対象とした残留農薬の調査を平成9年から行っています。

これらの結果の概要は、インターネット等を通じて例年厚生労働省より公表されております。また結果の詳細については、書籍「食品中の残留農薬(発行:(社)日本食品衛生協会)にてご覧いただけます。


マーケットバスケット調査とは何ですか?
一般的に人が日常の食事をすることによって農薬をどの程度摂取しているかを調べることを目的とした調査です。市場で流通している農産物、加工食品、魚介類、肉類、飲料水等のあらゆる食品について通常行われている調理方法で調理を行った後、各食品に含まれている農薬の量を測定します。国民栄養調査の結果から1日あたり各食品をどれくらいの量を食べているのかわかりますので、各食品中の残留農薬の測定の結果から、1日あたりに食品を食べることによって摂取される農薬の量を計算することができます。

設定した残留農薬基準を超える食品が流通しないようにするため、どのような対策が採られていますか?

残留農薬基準が設定された食品については、基準値を超えるものは廃棄や回収等が行われます。流通における抜き取り検査は地方自治体の食品衛生監視員が実施しています。
また、輸入品の場合は、全国31箇所の港や空港にある検疫所で検査が行われています。違反の可能性の高い食品については、厚生労働大臣の検査命令による検査が実施され、その他のものについては、食品の種類毎に輸入量、違反率等を勘案して計画的な検査が実施されています。
 更に、国内で登録され、使用される農薬については、残量農薬基準等を超えないような使用方法が決められ、個々の農薬のラベルに記載されるようになっています。この使用方法に従って農薬を使用すれば、収穫された農産物中の残留農薬の量は残留農薬基準を超えることはありません。


残留農薬基準が設定されていない農薬については、残留していてもよいのですか?
残留農薬基準が設定されていない農薬についても、残留している農薬の種類やその残留量によって、国民の健康確保に支障が生じると認められている場合には、食品衛生法違反となります。食品衛生法により「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがある食品の流通は禁止されること」が規定されています。違反かどうかは、その農薬の毒性の程度、残留農薬に関する国際基準や主要諸外国の基準等を参考にして個々の事例毎に個別に判断されます。

農薬の水への残留や大気中の濃度についての規制はあるのですか?
水、土壌については、チウラム、シマジン、チオベンカルブ等の農薬について、水道法又は環境基本法に基づく基準が定められています。大気の環境基準は現在設定されていませんが、環境省の調査結果では、問題になるような量の残留は見られていません。

ポストハーベスト農薬とは何ですか?
穀類や果実等の農作物は、収穫後の輸送過程や貯蔵中にも病害虫による被害を受けることがあります。コクゾウムシ等の害虫の発生、微生物の繁殖による腐敗等によって食中毒の原因や品質の劣化を招くことがあり、これらを防ぐために収穫後に殺虫剤、殺菌剤等で農産物を処理することをポストハーベストと言います。また、穀物や果実等の収穫後の農産物に対し、かびや害虫による損害を防ぐため用いる農薬をポストハーベスト農薬と言います。農薬のポストハーベスト使用は広く世界で認められており、日本でも臭化メチル等によるくん蒸等が認められています。

暴露評価とは何を評価するのですか?

食品等を経由して摂取する農薬の量を、農薬の暴露量といいます。通常の国民が農薬を摂取する主要な経路としては、農薬が残留した農産物を食べる場合が考えられます。
  基準設定に当たっての暴露評価とは、国際基準等を参考に定めた基準値案に基づいて農薬の暴露量を試算し、これをADI(一日摂取許容量)と比較することによって、その基準値案の妥当性を評価することを指します。


暴露評価に用いられる暴露量の算出の方法には、どのような方法がありますか?

理論最大一日摂取量(TMDI:theoretical maximum daily intake)方式と推定一日摂取量(EDI:estimeted daily intake)方式があります。


ポジティブリスト制度の対象となる食品は何ですか?

本制度は、生鮮食品、加工食品を含めすべての食品が対象となります。


不検出という基準が設定された15農薬等の選定根拠は何ですか?

発がん性等の理由によりADIを設定できないものについては、従来から農作物に対する基準を「不検出」としていることから、新たに設定する他の食品に対する基準も「不検出」としています。
  また、国際機関でADIが設定できないと評価されている物質(食品安全委員会に安全性試験成績等の提出をもって優先的に食品健康影響評価を依頼することとしたものは除く。)についても、「不検出」という暫定基準を設定することとしています。
  さらに、国際機関においてADIが0.03μg/kg/day未満であるとされた農薬等(クレンブテロール、デキサメタゾン及び酢酸トレンボロン)又は既に「不検出」という残留農薬基準が設定されている農薬等についても、残留農薬基準が設定されていない農作物等に関し、農作物又は畜水産物毎に「不検出」という基準を設定することとしています。


家庭用殺虫剤(作物用でない成分)が検出された場合、その食品の扱いはどうなるのですか?

ポジティブリスト制度は農薬、飼料添加物及び動物用医薬品(農薬等)を対象とする制度であることから、原則、世界的にみて、これら3つの用途として用いられる物質が対象となります。しかし、食品に残留する物質という観点で見た場合、いかなる用途で用いられたかを区別することは難しいことから、これらについては、農薬等の用途に使用されなくとも、ポジティブリスト制度のもとで規制されることとなります。


対象外物質はどのような基準で選定しているのですか?

対象外物質の選定は、農畜水産物の生産時に農薬、動物用医薬品又は飼料添加物(以下「農薬等」という。)として使用された結果、食品に当該農薬等及びこれらが化学的に変化して生成したものが残留した場合について基本的に以下の考え方に基づき行われています。

(1)農薬等及び当該農薬等が化学的に変化して生成したもののうち、その残留のおそれがないことが明らかである物質
(2)我が国の農薬取締法に規定される特定農薬のほか、現時点で登録保留基準が設定されていない農薬のうち、当該農薬を使用し生産された農産物を摂取したとしても、直ちに人の健康を損なうおそれのない物質
(3)海外において残留農薬基準を設定する必要がないとされている農薬等のうち、使用方法等に特に制限を設けていない物質

対象外物質の規定を設けた理由は何ですか?

通常の方法により使用され、食品中に残留した場合であっても、その食品を摂取することによって人の健康を損なうおそれがないことが明らかである農薬等の成分である物質については、仮に食品中に残留が認められても規制の対象とすることは適切ではありません。このような観点から、「人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるもの」を厚生労働大臣が定めることとしています。


特定農薬である天敵(微生物を含む)を「対象外物質」から除外した理由は何ですか?

対象外物質は通常の使用により食品中に残留するものについて、選定することとしています。微生物農薬や天敵農薬はそれぞれ残留しないことが明らかであるため、対象外物質の選定対象から除外しています。


特定農薬とは何ですか?

特定農薬とは、重曹、食酢、使用する場所の周辺(使用場所と同一の都道府県内)で採取された天敵(昆虫、クモ類で人畜に有害でないもの)の3資材です。


抗生物質及び合成抗菌剤以外の動物用医薬品(寄生虫駆除剤、ホルモン剤等)で残留農薬基準が設定されていないものは一律基準が適用されますか?

一律基準が適用されます。


加工食品もポジティブリスト制度の対象となるのですか?

ポジティブリスト制度は加工食品を含むすべての食品が対象です。例えば、食品製造用に使用されたワイン、みりん等のアルコール類に関しても食品であることから、対象となります。


加工食品について基準の適用はどのように考えればいいでしょうか?

残留農薬基準が設定されている加工食品については、その基準に適合する必要があります。残留農薬の設定がない加工食品については一律基準による規制の対象となるのが原則ですが、加工食品の原材料が食品規格に適合していれば、その加工食品についても残留農薬等の残留値によらずに食品規格に適合するものとして、一律基準の規制対象とならないものとして取り扱うこととしています。


ドリフトにより使用していないはずの農薬が検出された場合の行政機関の対応について教えてください。

ドリフトによるものといえども、基準を超える農薬等が検出された場合は食品衛生法に違反するものとみなされます。